【4】もらい事故のショックで自宅売却?!
「加害者」はご近所さん
↑前回の話はこちら
「ツキに見放された」氷河期世代の夫婦がある日遭遇した不運な出来事。
それは、
「大型トラックに追突され、加害者にゴネられて十分な補償が受けられない」
というものだった。
怒り心頭だった状況にさらに追い打ちをかけたのは、加害者のトラック運転手が近所に住んでいることだった。
加害者に近所でバッタリ遭遇する可能性もあると思った。
それにそれまで完全に車中心の生活をしていたのに愛車は経済的全損で保険会社に持っていかれてしまった。
これからの生活どうするよ?
車両保険全額でも新しい車を買うには足らず、多額の自腹を切らなければならない。
でもハッキリ言って、その時はクソ気分が悪くて新しい車を買うという発想にもなれない氷河期夫婦だった...
何もかもイヤになった...
社会でずっと辛酸をなめさせられた氷河期夫婦。
利用されたり、搾取されたり、騙されたりすることも少なくなかった。
その度に「悔しい!許せない!」という気持ちになった。
保険金の差額を自腹で負担して新しい車を買ったとしても、
「あのトラック運転手のせいでこんな目に遭って損した!」
といつも思い出してムカついてしまう可能性が大きかった。
その時、氷河期妻が突然ひらめいた。
「もう示談のことは諦めて、引越さない?」
しかし、当時の住まいはローンを組んだ持ち家(マンション)だった。
引越すためには、売却するしか道はない。
「家売って引っ越す」決断
ブラック企業の正社員として「ゾンビ化」することによって生き延びていた氷河期夫は、プライベートでも若干「ゾンビ化」していた。
自分の考えとか意志とかは持たないで「流されるように」生きていたのだ。
だから氷河期妻からの「家売って引っ越そう」という提案にも、
「うん、そうしよう」と即答したのだった。
もらい事故でイヤな思いをして、加害者が近所に住む街から出ていく決意した氷河期夫婦。
しかしローンを組んだ「自宅マンション売却」にとってはあまり良い時期ではなかった。
不動産売買が多い新学期シーズンを過ぎ、取引が低調な時期(6月)に入っていた。
でも「引っ越す」と決めると、憤りは収まっていた。
逆に、この先への根拠のない期待感でなぜかワクワクしていたのだった。
【第4話まとめ】
補償をめぐってゴネ始めた追突事故の加害者が「ご近所さん」という最悪の事態。
何もかもイヤになり「家を売って引っ越す」と決めた氷河期夫婦だった。