【13】氷河期夫、ホワイト企業に転職
1か月半で決まった転職
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転職を決意したとたん勤務先から「未払い残業代」がまとめて支払われるという予想外の出来事はあったものの、氷河期夫の転職の意志は揺らがなかった。
新卒で入社して以来ずっとブラック企業に勤めていた氷河期夫にとって、転職活動は初めての経験だった。
慣れない転職活動でストレスや焦りを感じた。
でも売却した郊外のマンションから都心の賃貸に引越したことで、氷河期夫の意識は完全に変化していた。
活動中、面接をした会社の中には「ブラック企業」も多かった。
でも運よくブラック企業をくぐり抜けて決まったのは、今までより良い条件の大企業だった。
そして見た目の年収よりも良かったことは、入社後に分かったことだったが転職先が「ホワイト企業」だったことだった。
その業界は昔からブラックで有名だった。
でもちょうどその頃大きな「ホワイト化」の動きがあった。
誰あろうあの「高橋まつりさん」のおかげだった。
この事件があっても変わらなかった企業もある。
でもこれまでのやり方を猛省し改革を実施した企業も多かったのだ。
氷河期夫が転職したのはタイミングよく「ホワイト化」改革が定着した時期だった。
だから氷河期夫婦はいつも高橋まつりさんに感謝の念を忘れたことはない。
「臨時収入」の桁が変わる
それまでブラック企業で「ゾンビ化」して生きていた氷河期夫にとって、突如何もかも状況が一変した。
未払い残業代の一括支払いを受けた後も、次々と「臨時収入」が転がり込んできた。
消化しきれない有給休暇の買取分や退職金だった。
おかしなことに、勤務先はブラック中小企業のくせに正社員の退職金は手厚かった。
なぜなら、元々大株主である大企業の「関連会社」として、大企業で一番上まで行けなかった連中の「天下り先」として創られた会社だったからだ。
大企業内でトップまで行けなかった連中の「ムジナ」なのでパワハラ・セクハラ満載のルーズな会社だったのだ。
そんな理由で、氷河期夫のような勤続十数年程度での退職でもちょっとした大企業並みの退職金が支払われた。
運気好転による最初の「臨時収入」はせいぜい数万円~6桁の金額の累積だった。
しかし、この頃になると続々とそれ以上の「臨時収入」が懐に入ってきた。
【13話まとめ】
東向きの部屋に引越して転職を決意した氷河期夫。2か月も経たないうちにホワイト企業への転職が決まった頃には「臨時収入」の桁が変わってきた。