【14】無理して買ったマンション
ブラック正社員唯一の「利点」
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2人きりになるチャンスを画策しては若手男性社員の「股間」を狙うセクハラ上司。
自分が追い詰めた部下が自殺したことを「自慢」するパワハラ部長(この人は大手出版社Kからの「天下り」)。
氷河期夫が辞めた「ク〇会社」には何の利点もなかった。
労基署に告発されるまでサービス残業で回していた中小企業のくせに、退職金だけは大企業並みだったのも、天下り役員に便宜を図るための規定だった。
何もかも「団塊世代」のク〇のせいで、割を食った「氷河期世代」。
ただそんな「ク〇会社」でもひとつだけ利点があった。
それは「住宅ローン」が組めるということだ。
無理して買ったマンション
「住宅ローン」には「住宅ローン控除」という税制上の優遇措置がある。
そして住宅ローンは「正社員」でないと組むのがたいへんだ。
日本というのは「正社員」という「身分」が優遇される身分制度がある国なのだ。
だから低賃金のブラック企業社員でも我慢して勤務しているうちに、この「身分」を生かして「住宅ローン」を組むことができる。
氷河期夫の場合、新卒から1年半で住宅ローン審査に通ることができた。
といっても薄給だから借入れられる金額もそこそこだ。
それでも2005年頃、氷河期夫婦は住宅ローンを組んで小さなマンションを購入した。
当時「ハケン」だった氷河期妻が、引越しで休暇を取ることを派遣先の上長に伝えた時、
「へえ、家買ったの?大したもんだな」
とバカにした口調で、薄笑いされた。
「賃貸派」VS「持ち家派」
当時も今も「家買うなんてバカバカしい」という「賃貸派」はいる。
氷河期夫婦は別に「持ち家派」というわけでもなかった。
しかしブラック企業には手厚い「住宅手当」もなかったから、賃貸の家賃を払い続けるよりは「持ち家」の方が金銭的に得だった。
ただ、物件選びには一つだけこだわりがあり、それは「駅近物件」だ。
そして実際に人気路線ではないものの、駅徒歩3分の小さなマンションを購入した。
親からの援助もなく「頭金ゼロ」でローンを組み、何とか初期費用を払った。
その後デフレが進行した時期には、評価額はかなり下がった。
それが十年以上経って追突事故に遭い、売却した時には価格は上がっていた。
なけなしの金を叩いて買ったマンションはある意味「打ち出の小づち」だった。
【14話まとめ】
「ブラック企業正社員」の唯一の利点は住宅ローンが組めることだった。