【12】ブラック企業からの「臨時収入」
転職を決意したとたん「臨時収入」
たまたま引越し先(賃貸物件)の寝室が東向きだったことから、否応なしに朝陽を浴びて超早起きになった氷河期夫婦。
氷河期夫の心境に変化が生まれたのは引越しから2週間もたたない日だった。
抑うつ状態の改善にも効果が実証されているという朝起きたての太陽の光。
それが過酷なパワハラやセクハラのせいで、前向きな気持ちを失い「ゾンビ化」していた氷河期夫の気分を変えた。
するとその時、運気好転の兆しである「臨時収入」現象が再び始まった。
ブラック企業からの「臨時収入」
氷河期夫が手にした「臨時収入」はまさかのブラック企業からもたらされた。
その理由は何と
「過去にさかのぼって一定期間の(サービス分の)残業代がまとめて支払われる」
というものだった。
転職を決意したタイミングだったのは「たまたま」だったが、そんなことになったのは理由がある「必然」だった。
それより少し前、ブラック企業を中途退職した同僚がいた。
その人も長年、会社の処遇に不満と恨みを抱いていた。
そして退職に当たって、サービス残業の件を含めた会社の違法行為を一切合切、労基署に訴えたのだった。
労基署から指導が入ったことで、事はその退職者だけの問題では済まなくなった。
その経緯で、氷河期夫にも同じ措置が取られることになった。
こうしてパワハラ・セクハラ満載のブラック企業を辞める前に、まとまった金額の過去の残業代を受け取ることができたのだった。
だからこの件は単に「運が良かった」というよりも、勇気を出してブラック企業の搾取の実態を労基署に訴えてくれた人のおかげだ。
自身の過去の不当な搾取分を取り戻す目的で行動したのだろうと思うが、結果として氷河期夫を含む他の人間にも多大な恩恵を与えてくれた。
誰かのお陰で助けられる経験。
氷河期世代が経験した不運は「運が良い」と思える経験が少なかっただけではない。
「誰かが助けてくれる」という経験が圧倒的に少ないことではないだろうか。
子どもの頃から競争ばかりで人を蹴落とすことを強いられ社会に出てからはブラック職場で非生産的で理不尽な体験をしてきたのだ。
【第12話まとめ】
転職を決意した氷河期夫に転がり込んできた思いがけない「臨時収入」。
それはパワハラ・セクハラ満載のブラック企業を労基署に訴えて退職した同僚のおかげで支払われた「サービス残業代」だった。