【16】人生初の都心暮らし
住む場所と年収の関係
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氷河期夫婦が結婚してから住んでいたのは、郊外の人気のない路線の街だった。
元々畑の広がる田舎だったところに新線が開通して駅ができたため、ぼちぼち住宅が広がっていったような場所だった。
その街に10年以上暮らしていた。
それほど好きな街でもなかったが、追突事故に遭うまでは取り立てて不満もなかった。
追突事故の加害者であるトラック運転手が近所に住んでいることがきっかけで自宅を売却した氷河期夫婦。
引越し先は大都会、東京23区内の山手線の内側エリアだった。
賃貸物件の一か月の家賃は、売却したマンションの月々のローンやその他費用を含めた金額の「倍」近かった。
それでも氷河期夫婦は「高い家賃」の賃貸物件にあえて住んでみることにした。
その理由は、
「家賃の高い家に住むと収入も増える」
という説を確かめたかったからだ。
よくお笑い芸人がその「ジンクス」を実践しているが、実際には学術的にも証明されていることだと以前、本で読んだことがあった。
そしてそれは本当だった。
初めての都心暮らし
氷河期夫婦はそれまで仕事では都心に出ていた。
しかし生活するのは初めてだった。
想定外に自宅が高く売れたのもあって、氷河期夫婦にしては「奮発」した家賃の賃貸物件に住んだのはあくまでも「仮住まい」のつもりだった。
とにかく今までに染み付いた運の悪い「考え方」をすべて捨て去る意志を持っていた。
住環境が変わるというのは「考え方」を変えるうえでは大きな影響力がある。
映画館やコンサートホールに徒歩で行く。
そんな経験も、周辺に何もない郊外の暮らしでは考えられないものだった。
「仮住まい」だからこそ、
今までとはガラッと違うことを体験して「意識を変えたい」
と思った。
期間限定の仮住まい
次の住まいをどうするか、賃貸に住みながら検討することになった。
氷河期夫婦はもともと「持ち家派」というわけでもなかった。
しかし、東京はいつまでも賃貸暮らしをするには家賃が高すぎる。
だから賃貸契約の期間である2年間で「次どうするか」を決めるつもりだった。
賃貸契約が切れるのは2020年の夏だったから、それまでに住まい探しをすればいいだろう。
こうして「たまたま」の流れで次の住まいを探す時期が決まった。
【第16話まとめ】
自宅を売却したあとで氷河期夫婦が「初めて」住んだのは「都心」の賃貸物件だった。高い家賃だったが、不思議と収入も増えていった。